【レポート】NEXT AGRI PROJECT in TOKYO -埼玉県深谷市が目指すアグリテック集積都市

【レポート】NEXT AGRI PROJECT in TOKYO -埼玉県深谷市が目指すアグリテック集積都市

埼玉県深谷市が、新たなまちづくりと地域課題の解決を目的とした”アグリテック集積戦略”を、先日発表しました。今回、NEXT AGRI PROJECT in TOKYO に小島進市長が登壇されたので、イベントに参加して伺った内容をレポートします。

アグリテック集積戦略とは?

画像引用:深谷市公式Web

アメリカのIT企業が集うシリコンバレー(SILICONを意味する半導体メーカーがVALLEY・渓谷に集まったためそう呼ばれる)にかけて、”深谷”を英語に直訳した”DEEP VALLEY”をアグリテック集積都市の名称にしたとのこと。

アグリテック関連企業の誘致

農業分野における先進的な技術を持つアグリテック企業・個人を市内へ誘致し、アメリカのシリコンバレーのような、最先端のテクノロジーと人が集まる場所にすること目指していくとのこと。

地域課題を解決して農業の発展へ

農業課題の解決、農業生産性の向上、儲かる農業を実現するために、地域課題を、誘致した企業の最新技術で解決していいきたいとのこと。

埼玉県深谷市が「DEEP VALLEY」宣言、農業のシリコンバレーとして「アグリテック集積都市」目指す
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1192939.html

アグリテック集積を目指す理由

渋沢栄一”論語と算盤”の精神を軸に

埼玉県深谷市は、日本経済の父「渋沢栄一」の出身地です。
論語と算盤という書籍の中で、「道徳と経済の調和」を訴えました。
企業は倫理観を持たなければいけない。みんなの幸せを求めていく。
その精神を受け継ぎ、地域全体の幸福を求めて本プロジェクトを進めていくとのこと。

強みは農業 -産出額は埼玉1位 国内で6位

なぜ”アグリテック”なのか?
深谷市は野菜に搾ると農業産出額が埼玉県内1位。日本全体でも6位に位置します。(私は深谷出身ですが、この事実は知りませんでした….)
ブロッコリーは日本1位。きゅうりは2位。・・・・・・。と農業大国であることと、「農業」と「食料品加工業」の地域への波及効果が高い=農業が経済の軸になっていることを踏まえて、この戦略を打ち立てたとのこと。

引用:アグリテック集積戦略

また、現在の市内農業には様々な課題があるため、解決策としてテクノロジーのちからを活用しようという狙いとのこと。

農家の高齢化の進行に伴う、遊休農地・耕作放棄地の増加
・市内工業団地の立地や農業以外の環境整備が進み、社会情勢の変化もあり農業の兼業化が進行し、土地利用型農業を中心として農業の担い手不足が深刻化
・兼業農業者自身の高齢化が進み、機械更新時や世代交代等を機に農地の貸出希望が増加している一方、農地を引き受ける担い手が不足していることや、新規就農者への貸出に対する心理的抵抗感が壁となっている
・農業就業人口の高齢化や減少に伴い、農業後継者に継承されない農地や、担い手に集積されない農地において一部遊休化した農地が近年増加傾向にある
・遊休農地を放置すれば、利用が遅れるばかりでなく、周辺農地の耕作にも大きな支障を及ぼすおそれがある
・後継者不足となる背景に関する原因仮説
・子が後を継がない原因・背景として、「農業はきつい」「農業は稼げない」「休みがない」というイメージが抱かれている
・親が継がせない理由として「自然相手なので収入の不安定さ」がある
・新規就農が難しい理由として、「初期投資」「技術やノウハウの伝承」「地域社会からの信頼」の壁がある

引用:DEEP VALLEY Agritech Award 2019 応募要項

企業誘致と定着に向けて

DEEP VALLEY Agritech Award 2019の開催

企業誘致策として、アワードの開催を実施する。
入賞者には、実証フィールド提供や最大1,000万円の出資等を通じた支援を行い、製品化・事業化を実現していく。

ディープバレーアグリテックアワード2019 マイナビ農業
https://agri.mynavi.jp/deepvalley_agritechaward/

地元企業との交流と運営サポート

誘致した企業については、地元の農業関連企業や農業従事者との交流会の開催を行ったり、課題と技術のマッチングを行い、ビジネス面でのサポートを継続していく予定とのこと。

同アワードには、DEEP VALLEY推進パートナーとして市内外の様々な企業・団体が名を連ねている。

・埼玉県深谷市
・ふかや農業協同組合
・埼玉岡部農業協同組合
・花園農業協同組合
・深谷商工会議所
・ふかや市商工会
・学校法人智香寺学園埼玉工業大学
・株式会社トラストバンク
・株式会社マイナビ
ディープバレーアグリテックアワード2019

戦略の具体的な内容については下記の資料に明記されています。

アグリテック集積戦略 – 豊かな農業、儲かる農業都市の実現 –
http://www.city.fukaya.saitama.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/79/AGRITECH-FUKAYA_finish.pdf

あとがき

自分の地元でこういった動きがあることを知らなかったので驚いたのと、直接、市長から概略をお話しいただけるということで興味を持ちイベントに参加してきました。

アグリテックの産業集積を目指すことに僕は賛成です。
客観的に見て深谷市は、実証実験を行う上で立地条件が良く(都内に電車通勤できる距離であり、極端な災害が少ない)栽培する野菜の種類も豊富で、適した環境だと思います。

まちづくりや事業を行っていく上で、構想力よりも、実現力・推進力の方が重要度が高いと考えています。深谷市には、構想で終わらず、この取り組みを最後までやりきって欲しいです。

レポートを掲載することで、微力ながらお力添えできれば幸いです。